国際法からみた便衣兵の処罰[08]まとめ

国際法からみた便衣兵の処罰ic 戦時国際法
国際法からみた便衣兵の処罰ic
国際法からみた便衣兵の処罰 総目次
1.はじめに
2.研究者の議論
3.便衣兵とは何か
4.便衣兵の法的性質
5.戦争犯罪人の処罰方法
6.戦争犯罪の処罰に裁判を実施した事例
7.無裁判処罰を違法とした判例
8.まとめ
9.参考文献

 南京攻略戦における便衣兵処罰の裁判の必要性をめぐり、南京事件の研究者で議論がある。本稿では、この問題について国際法学者の見解、裁判の実施事例、無裁判を違法とした判例を検討した。
 国際法学者によれば、便衣兵は交戦法規違反者もしくは変装をした有害行為者であり、戦時犯罪人とみなされる。戦争犯罪人を処罰するには、軍律を制定し、軍律法廷によって審判をし、審判に基いて処罰することが慣習法上求められていた。
 このような慣習は、南京戦直後の上海において中支那方面軍や第十軍でも実施されていたことが、当時の記録で明らかになっている。
 戦後のBC級法廷では、東南アジアを占領していた日本軍が、現地民をゲリラ容疑で処罰した際、裁判を行わなかったこと理由の一つとして、その処置を違法だと判断した。

 否定論者の東中野氏は便衣兵を「不法戦闘員」とした上で、「彼らにはいかなる権利もなく」「裁判は不用であった」主張したが、本稿で明らかにした国際法上の見解からは大きく外れる主張と言わざるを得ないだろう。

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