歩66捕虜殺害事件 東中野説批判[01]はじめに

歩66捕虜殺害事件 東中野説批判 第114師団
歩66捕虜殺害事件 東中野説批判
歩66捕虜殺害事件 東中野説批判 総目次
1. はじめに
2. 殺害命令の存否
3. 捕虜捕獲状況・捕獲数
4. 戦闘詳報の捏造
5. 投降兵の処刑
6. まとめ
7. 参考資料
東中野修道『「南京虐殺」の徹底検証』(展転社)

 南京事件の捕虜殺害事例の中でポピュラーな話題の一つが、歩兵第66連隊第1大隊の捕虜殺害事件だろう。この大隊が作製した戦闘詳報には連隊命令によって捕虜を殺害した事実が記録されている。南京事件否定論者にとっては是が非でも否定したい論点の一つだと思われる。その様な南京事件否定論者の一人が亜細亜大学名誉教授の東中野修道氏だ。東中野氏は『「南京虐殺」の徹底検証』(展転社)97頁~112頁に渡りこの問題を論述している。

 同氏の主張は大きく分けると3つある。
 一つ目は、第一大隊戦闘詳報では、捕虜殺害命令は歩兵第127旅団から歩兵第66連隊に命令があり、それをさらに第1大隊に命じたものと書かれているが、東中野氏の検証の結果、師団・旅団・連隊ともに捕虜殺害命令を出してなかったいう。
 二つ目に、上部組織のいずれからも発令されていない捕虜殺害命令が、なぜ第1大隊戦闘詳報に記載されたのかを検証する。
 三つ目に、実行された捕虜の殺害は、実は釈放するつもりだったが、捕虜が暴れ出し統制が利かなくなった為、已むなく処断した推測する。
 つまり、捕虜殺害命令など存在せず、捕虜を殺害したもの正当行為だというとなり、否定論としてはまさしく都合のよい結論となっている。

 本稿では、東中野氏による上記3つの主張を、逐一検証したいと思う。

1.はじめに[次ページ]2. 殺害命令の存否

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