戦 数

『国際法辞典』 筒井若水編集代表、有斐閣 (1998年3月30日初版第1刷発行)

クリークスレーゾン 独Kriegsrason
戦数、戦時緊急必要、戦時非常事由又は交戦条理と訳され、特定の状況の下では、軍事上の必要から戦争の法規慣例の遵守義務から免れることができるという「免責事由」の意味で用いられる。 例えぱ、陸戦ノ法規慣例二関スル規則23条ハ・二では、兵器を捨て又は自衛の手段が尽き投降する敵兵の殺傷と、助命しない旨の宣言が禁止されているが、戦争の成り行きが投降兵の収容を不可能にさせる例外的な状況では、「クリークスレーゾン(戦数)が戦争法を破る」として、上記の禁止が解除されると説かれる。 第一次大戦前に主としてドイツの学者によって唱えられた考え方であるが、戦争法はそうした必要を既に組み込んだものであり、濫用を正当づけるための口実として使用されるおそれがあるとして批判が多い。