起訴状(極東国際軍事裁判所判決文 付属書A-6)

〈説明〉

本資料は、極東国際軍事裁判所判決文の付属書Aの起訴状(付属書A-6)を文字起ししたものである。原典は、国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている「極東国際軍事裁判所判決 〔第7冊〕付属書 Aノ部」に所収されている。
掲載するにあたり、適宜、カタカナを平仮名に、旧漢字を新漢字に直した他は原典を再現している。文中の「(E-数字)」は、英文判決文のページ数に対応する。


〈目次〉

前文

第一類 平和に対する罪
訴因 第1
訴因 第2
訴因 第3
訴因 第4
訴因 第5
訴因 第6
訴因 第7
訴因 第8
訴因 第9
訴因 第10
訴因 第11
訴因 第12
訴因 第13
訴因 第14
訴因 第15
訴因 第16
訴因 第17
訴因 第18
訴因 第19
訴因 第20
訴因 第21
訴因 第22
訴因 第23
訴因 第24
訴因 第25
訴因 第26
訴因 第27
訴因 第28
訴因 第29
訴因 第30
訴因 第31
訴因 第32
訴因 第33
訴因 第34
訴因 第35
訴因 第36

第二類 殺人
訴因 第37
訴因 第38
訴因 第39
訴因 第40
訴因 第41
訴因 第42
訴因 第43
訴因 第44
訴因 第45
訴因 第46
訴因 第47
訴因 第48
訴因 第49
訴因 第50
訴因 第51
訴因 第52

第三類 通例の戦争犯罪及び人道に対する罪訴因 第53
訴因 第54
訴因 第55

検察官名

 

 


〈本文〉

(E-29)

極東国際軍事裁判所判決
付属書A―六
起訴状

「アメリカ」合衆国、中華民国、「グレート・ブリテン」・北「アイルランド」聨合王国、「ソビエツト」社会主義共和国聯邦、「オーストラリア」聯邦、「カナダ」、「フランス」共和国、「オランダ」王国、「ニユージーランド」、「インド」及び「フイリツピン」国

被告―荒木貞夫、土伊原賢二、橋本欣五郎、畑俊六、平沼騏一郎、廣田弘毅、星野直樹、板垣征四郎、賀屋興宣、木戸幸一、木村兵太郎、小磯國昭、松井石根、松岡洋右、南次郎、武藤章、永野修身、岡敬純、大川周明、大島浩、佐藤賢了、重光葵、嶋田繁太郎、白鳥敏夫、鈴木貞一、東郷茂徳、東條英機、梅津美治郎

起訴状

(E-30)
以下本起訴状の言及せる期間に於て日本の対内対外政策は犯罪的軍閥に依り支配さられ且指導せられたり斯る政策は重大なる世界的紛議及び侵略戦争の原因たると共に平和愛好諸国民の利益並に日本国民自身の利益の大なる毀損の原因をなせり
日本国民の精神は「アジア」否全世界の他の諸民族に対する日本の民族的優越性を主張する有害なる思想に依り組織的に毒せられたり日本に存したる議会制度は広汎なる侵略の道具として使用せられ且当時「ドイツ」に於て「ヒツトラー」及び「ナチ」党に依り「イタリア」に於て「フアシスト」党に依り確立せられたると同様の組織が導入せられたり日本の経済的及び財政的資源は大部分戦争目的に動員せられ、為めに日本国民の福祉は阻害せらるるに至れり
被告間に於ける共同謀議は他の侵略国即ち「ナチ・ドイツ」並に「フアシスト・イタリア」の統治者の参加を得て約定せられたり本共同謀議の主たる目的は侵略国家に依る世界の他の部分の支配と搾取との獲得及び本目的の為め本裁判所條例中に定義せられたるが如き平和に対する罪、戦争犯罪並に人道に対する罪を犯し又は犯すことを奨励するにありたり斯くて自由の基本原則と人格に対する尊敬を脅威し毀損したり
(E-31)
該企図の促進並に達成に対し此等被告は其の権力、公職及び個人的声望及び勢力を利用して「アメリカ」合衆国、中華民国、「グレート・ブリテン」・北「アイルランド」聨合王国、「ソビエツト」社会主義共和国聯邦、「オーストラリア」聯邦、「カナダ」、「フランス」共和国、「オランダ」王国、「ニユージーランド」、「インド」、「フイリツピン」国及び他の平和的諸国家に対し国際法並に神聖なる條約上の誓約、義務及び保証に違反して侵略戦争の計画、準備、開始又は遂行を意図し且実行せり該計画は俘虜、一般収容者及び公海に在る人を殺害、毀傷及び虐待し之等に対し適当なる食糧、収容所、衣服、医療手当又は其の他の適当なる処置を与へず此等を非人道的條件下の強制労役に服せしめ、且恥辱を与へ以て広く承認せられたる戦争の法規慣例の侵犯を企図し且之を実行せり又日本の利益の為めに被征服国民の人的及び経済的資源を搾取し公私の財産を掠奪し、都市村落に対し軍事上の必要以上濫りに破壞を加へ、蹂躙せられたる諸国の無力の一般民衆に対し大量殺害、凌辱、掠奪、却掠、拷問其の他の野蛮なる残虐行為を加へ日本国政府の官吏及び諸機関に対する陸海軍派閥の勢力及び制圧を強めいはゆる翼賛会等を創設し国家主義的膨張政策を教へ戦争宣伝物を播布し新聞及び「ラヂオ」に厳格なる統制を加へ以て日本国民の与論を動かし以て侵略戦争に対する心理的準備を整へしめ被征服諸国に『傀儡』政権を樹立し武力に依る日本の膨張計画を推進する為め「ドイツ」及び「イタリア」と軍事同盟を締結せり
(E-32)
故に上記諸国家は一九四五年((昭和二十年))七月二十六日の「ポツダム」宣言、一九四五年((昭和二十年))九月二日の降伏文書及び本裁判所條例に従ひ、重大なる戦争犯罪人に対する被疑事実の調査及び之が訴追に付き各自の政府を代表すべく正当に任命せられたる下記署名の代表者に依りて上記の凡ての者を以下列挙の諸点に付き本裁判所條例中に凡て定義せるが如き平和に対する罪、戦争犯罪、人道に対する罪及び以上の罪の共通計画又は共同謀議の罪ありとして茲に告訴し此の故に本訴訟に於ける被告とし且其の氏名が夫々記載せられたる後述の訴因に拠り起訴せられたるものとして指名す

第一類 平和に対する罪

下記諸訴因に付きては平和に対する罪を問ふ
該罪は茲に記載せられたる者及び其の夫々が極東国際軍事裁判所條例第五條特に第五條(イ)及び(ロ)並に国際法又は其の孰れかの一により個々に責任ありと主張さられ居る行為なり
(E-33)

訴因 第一

全被告は他の諸多の人々と共に一九二八年((昭和三年))一月一日より一九四五年((昭和二十年))九月二日に至る迄の期間に於て一個の共通の計画又は共同謀議の立案又は実行に指導者、教唆者又は共犯者として参画したるものにして斯かる計画の実行に付き本人自身により為されたると他の何人により為されたるとを問わず一切の行為に対し責任を有す
斯かる計画又は共同謀議の目的は日本が東「アジア」並に太平洋及び「インド」洋並に右地域内及び之に隣接せる凡ての国家及び島嶼に於ける軍事的、政治的及び経済的支配を獲得するに在り而して其の目的の為め独力を以て、又は同様の目的を有する他の諸国と共同して、若くは右計画乃至共同謀議に誘致又は強制的に加入せしめ得る他の諸国と共同して、其の目的に反対する国又は国々に対し宣戦を布告せる又は布告せざる侵略戦争並に国際法、條約、協定及び誓約に違反する戦争を行ふに在り
附属書Aの細目、附属書Bの條約條項及び附属書Cの誓約の各全部は本訴因に関係あり

訴因 第二

全被告は他の諸多の人々と共に一九二八年⦅昭和三年⦆一月一日より一九四五年⦅昭和二十年⦆九月二日に至る迄の期間に於て一個の共通の計画又は共同謀議の立案又は実行に指導者、組織者、敎唆者又は共犯者として参画したるものにして斯かる計画実行に付き本人自身により為されたると他の何人により為されたるとを問はず一切の行為に対し責任を有す
(E-34)
斯かる計画又は共同謀議の目的は直接に又は日本の支配下に別個の一国家を建設することに依り日本が中華民国の一部たる遼寧、吉林、黒蘢江、及び熱河の各省に於ける軍事的、政治的及び経済的支配を獲得するにあり、而して其の目的の為め中華民国に対し宣戦を布告せる又は布告せざる侵略戦争並に国際法、條約、協定及び誓約に違反する戦争を行ふにあり
附属書Aの細目全部、附属書Bの下記條約項即ち第一乃至第六、第八乃至第十四、第二十二乃至第三十及び第三十二乃至第三十五條並に附属書Cの下記誓約即ち第一乃至第八は本訴因に関係あり

訴因  第三

全被告は他の諸多の人々と共に一九二八年⦅昭和三年⦆一月一日より一九四五年⦅昭和二十年⦆九月二日に至る迄の期間に於て一個の共通の計画又は共同謀議の立案又は実行に指導者、組織者、教唆者又は共犯者として参画したるものにして斯かる計画実行に付き本人自身により為されたると他の何人により為されたるとを問はず一切の行為に対し責任を有す
斯かる計画又は共同謀議の目的は直接に又は日本の支配下に一又は数個の別個の国家を建設することに依り日本が中華民国に於ける軍事的、政治的及び経済的支配を獲得するにあり而して其の目的の為め中華民国に対し宣戦を布告せる又は布告せざる侵略戦争並に国際法、條約協定及び誓約に違反する戦争を行ふにあり
(E-35)
附属書Aの細目全部並に訴因第二に於けると同一の條約條項及び誓約は本訴因に関係あり

訴因 第四

全被告は他の諸多の人々と共に一九二八年⦅昭和三年⦆一月一日より一九四五年⦅昭和二十年⦆九月二日に至る迄の期間に於て一個の共通の計画又は共同謀議の立案又は実行に指導者、組織者、教唆者又は共犯者として参画したるものにして斯かる計画実行に付き本人自身により為されたると他の何人により為されたるとを問はず一切の行為に対し責任を有す
斯かる計画又は共同謀議の目的は日本が東「アジア」並に太平洋及び印度洋並に右地域内又は之に隣接せる凡ての国家及び島嶼に於ける軍事的、政治的及び経済的支配を獲得するに在り而して其の目的の為め独力を以て、又は同一の目的を有する他の諸国と共同して、若くは右計画乃至共同謀議に誘致又は強制的に加入せしめ得る他の諸国と共同して、「アメリカ」合衆国、全「イギリス」聯邦(本起訴状に於て使用せる場合此の語は常に「グレート・ブリテン」及び北「アイルランド」聯合王国、「オーストラリア」聯邦、「カナダ」、「ニユージーランド」、南「アフリカ」聯邦、「インド」、「ビルマ」、「マレー」聯邦及び国際聯盟に於て個々に代表せられざる「イギリス」帝国の他の凡ての部分を含むものとす)「フランス」共和国、「オランダ」王国、中華民国、「ポルトガル」共和国、「タイ」国、「フイリツピン」国及び「ソビエツト」社会主義共和国聯邦又は之等の内其の目的に反対する諸国に対し宣戦を布告せる又は布告せざる侵略戦争並に国際法、條約、協定及び誓約に違反する戦争を行ふに在り
(E-36)
附属書Aの細目、附属書Bの條約條項及び附属書Cの誓約の各全部は本訴因に関係あり

訴因 第五

全被告は他の諸多の人々と共に一九二八年⦅昭和三年⦆一月一日より一九四五年⦅昭和二十年⦆九月二日に至る迄の期間に於て一個の共通の計画又は共同謀議の立案又は実行に指導者、組織者、教唆者又は共犯者として参画したるものにして斯かる計画実行に付き本人により為されたると他の何人により為されたるとを問はず一切の行為に対し責任を有す
斯かる計画又は共同謀議の目的は「ドイツ」、「イタリア」及び日本が自己特有の国内に―日本は東「アジア」、太平洋及び「インド」洋並に右地域内の又は之に隣接せる凡ての国家及び島嶼に―夫々特別支配を有することに依り全世界に亘る軍事的、政治的及び経済的支配を獲得すべきこと、而して右三国は其の目的の為め相倚り相扶け以て其の目的に反対する諸国、特に「アメリカ」合衆国、全「イギリス」聯邦、「フランス」共和国、「オランダ」王国、中華民国、「ポルトガル」共和国、「タイ」王国、「フイリツピン」国及び「ソビエツト」社会主義共和国聯邦に対し宣戦を布告せる又は布告せざる侵略戦争並に国際法、條約、協定及び誓約に違反する戦争を行ふに在り
(E-37)
附属書Aの細目、附属書Bの條約條項及び附属書Cの誓約の各全部は本訴因に関係あり

訴因 第六

全被告は一九二八年⦅昭和三年⦆一月一日より一九四五年⦅昭和二十年⦆九月二日に至る迄の期間に於て中華民国に対し侵略戦争並に国際法、條約、協定及び誓約に違反する戦争を計画し準備せり
附属書Aの細目中下記節即ち第一乃至第六並に訴因第二に於けると同一の條約條項及び誓約は本訴因に関係あり

訴因 第七

全被告は一九二八年⦅昭和三年⦆一月一日より一九四五年⦅昭和二十年⦆九月二日に至る迄の期間に於て「アメリカ」合衆国に対し侵略戦争並に国際法、條約、協定及び誓約に違反する戦争を計画し準備せり
附属書Aの細目中下記節即ち第三、第四、第五、第六、第七、第九及び第十、並に附属書Bの下記條約條項即ち第一乃至第十、第十七乃至第十九、第二十二乃至第三十五及び第三十七並に附属書Cの誓約全部は本訴に関係あり
(E-38)

訴因 第八

全被告は一九二八年⦅昭和三年⦆一月一日より一九四五年⦅昭和二十年⦆九月二日に至る迄の期間に於て「グレート・ブリテン」及び北「アイルランド」聯合王国、及び全「イギリス」聯邦中本起訴状に於ける個々の訴因の主体たらざる凡ての部分に対し侵略戦争並に国際法、條約、協定及び誓約に違反する戦争を計画し準備せり
附属書Aの細目中下記節即ち第三、第四、第五、第六、第七、第九、及び第十並に附属書Bの下記條約條項即ち第一、第二、第五、第十乃至第十九、第二十二乃至第三十、第三十二乃至第三十五、第三十七及び第三十八並に附属書Cの誓約の全部は本訴因に関係あり

訴因 第九

全被告は一九二八年⦅昭和三年⦆一月一日より一九四五年⦅昭和二十年⦆九月二日に至る迄の期間に於て「オーストラリア」聯邦に対し侵略戦争並に国際法、條約、協定及び誓約に違反する戦争を計画し準備せり
訴因第八に於けると同一の附属書Aの細目各節並に右訴因に於けると同一の條約條項及び誓約は本訴因に関係あり

(E-39)

訴因 第十

全被告は一九二八年⦅昭和三年⦆一月一日より一九四五年⦅昭和二十年⦆九月二日に至る迄の期間に於て「ニユージーランド」に対し侵略戦争並に国際法、條約、協定及び誓約に違反せる戦争を計画し準備せり
訴因第八に於けると同一の附属書Aの細目各節並に右訴因に於けると同一の條約條項及び保証は本訴因に関係あり

訴因 第十一

全被告は一九二八年⦅昭和三年⦆一月一日より一九四五年⦅昭和二十年⦆九月二日に至る迄の期間に於て「カナダ」に対し侵略戦争並に国際法、條約、協定及び誓約に違反する戦争を計画し準備せり
訴因第八に於けると同一の附属書Aの細目各節並に右訴因に於けると同一の條約條項及び誓約は本訴因に関係あり

訴因 第十二

全被告は一九二八年⦅昭和三年⦆一月一日より一九四五年⦅昭和二十年⦆九月二日に至る迄の期間に於て「インド」に対し侵略戦争並に国際法、條約、協定及び誓約に違反する戦争を計画し準備せり
訴因第八に於けると同一の附属書Aの細目各節並に右訴因に於けると同一の條約條項及び誓約は本訴因に関係あり

(E-40)

訴因 第十三

全被告は一九二八年⦅昭和三年⦆一月一日より一九四五年⦅昭和二十年⦆九月二日に至る迄の期間に於て「フイリツピン」国に対し侵略戦争並に国際法、條約、協定及び誓約に違反する戦争を計画し準備せり
訴因第七に於けると同一の附属書Aの細目各節並に右訴因に於けると同一の條約條項及び誓約は本訴因に関係あり

訴因 第十四

全被告は一九二八年⦅昭和三年⦆一月一日より一九四五年⦅昭和二十年⦆九月二日に至る迄の期間に於て「オランダ」王国に対し侵略戦争並に国際法、條約、協定及び誓約に違反する戦争を計画し準備せり
附属書Aの細目中下記節即ち第三、第四、第五、第六、第七、第九及び第十並に附属書Bの下記條約條項即ち第一乃至第五、第十乃至第十八、第二十、第二十二乃至第三十、第三十二乃至第三十五、第三十七及び第三十八並に附属書Cの下記誓約即ち第十乃至第十五は本訴因に関係あり

訴因 第十五

全被告は一九二八年⦅昭和三年⦆一月一日より一九四五年⦅昭和二十年⦆九月二日に至る迄の期間に於て「フランス」共和国に対し侵略戦争並に国際法、條約、協定及び誓約に違反する戦争を計画し準備せり
(E-41)
附属書Aの細目中下記節即ち第二、第三、第四、第五、第六、第七、第九及び第十並に附属書Bの下記條約條項即ち第一乃至第五、第十乃至第十九、第二十二乃至第三十及び第三十二乃至第三十八並に附属書Cの下記誓約即ち第十四及び第十五は本訴因に関係あり

訴因 第十六

全被告は一九二八年⦅昭和三年⦆一月一日より一九四五年⦅昭和二十年⦆九月二日に至る迄の期間に於て「タイ」王国に対し侵略戦争並に国際法、條約、協定及び誓約に違反する戦争を計画し準備せり
附属書Aの細目中下記節即ち第二、第三、第四、第五、第六、第七、第九及び第十並に附属書Bの下記條約條項即ち第三、第四、第五、第十及び第三十二乃至第三十八は本訴因に関係あり

訴因 第十七

全被告は一九二八年⦅昭和三年⦆一月一日より一九四五年⦅昭和二十年⦆九月二日に至る迄の期間に於て「ソビエツト」社会主義共和国聯邦に対し侵略戦争並に国際法、條約、協定及び誓約に違反する戦争を計画し準備せり
附属書Aの細目中下記節即ち第一乃至第八並に附属書Bの下記條約條項即ち第一乃至第五、第十乃至第十八、第三十二乃至第三十五及び第三十九乃至第四十七並に附属書Cの誓約第十三は本訴因に関係あり

(E-42)

訴因 第十八

被告荒木、土肥原、橋本、平沼、板垣、小磯、南、大川、重光、東條、梅津は一九三一年⦅昭和六年⦆九月十八日又は其の頃中華民国に対し侵略戦争並に国際法、條約、協定及び誓約に違反する戦争を開始せり
附属書Aの細目中第一節並に附属書Bの下記條約條項即ち第一乃至第五、第十一乃至第十四、第二十二、第二十三、第二十五、第三十及び第四十乃至第四十三は本訴因に関係あり

訴因 第十九

被告荒木、土肥原、橋本、畑、平沼、廣田、星野、板垣、賀屋、木戸、松井、武藤、鈴木、東條、梅津は一九三七年⦅昭和十二年⦆七月七日又は其の頃中華民国に対し侵略戦争並に国際法、條約、協定及び誓約に違反する戦争を開始せり
附属書Aの細目中第二節並に訴因第十八に於けると同一の條約條項並に附属書Cの下記誓約即ち第三、第四及び第五は本訴因に関係あり

訴因 第二十

被告土肥原、平沼、廣田、星野、賀屋、木戸、木村、武藤、永野、岡、大島、佐藤、嶋田、鈴木、東郷、東條は一九四一年⦅昭和十六年⦆十二月七日又は其の頃「アメリカ」合衆国に対し侵略戦争並に国際法、條約、協定及び誓約に違反する戦争を開始せり
(E-43)
附属書Aの細目中第九節並に附属書Bの下記條約條項即ち第一乃至第九、第十九、第二十二乃至第三十、第三十三、第三十四及び第三十七並に附属書Cの誓約全部は本訴因に関係あり

訴因 第二十一

訴因第二十に於けると同一の被告は一九四一年⦅昭和十六年⦆十二月七日又は其の頃「フイリツピン」国に対し侵略戦争並に国際法、條約、協定及び誓約に違反する戦争を開始せり
訴因第二十に於けると同一の細目、條約條項及び誓約は本訴因に関係あり

訴因 第二十二

訴因第二十に於けると同一の被告は一九四一年⦅昭和十六年⦆十二月七日又は其の頃全「イギリス」聯邦に対し侵略戦争並に国際法、條約、協定及び誓約に違反する戦争を開始せり
附属書Aの細目中第九節並に附属書Bの各條約條項第一乃至第五、第十九、第二十二乃至第三十、第三十三及び第三十七並に附属書Cの誓約全部は本訴因に関係あり

(E-44)

訴因 第二十三

被告荒木、土肥原、平沼、廣田、星野、板垣、木戸、松岡、武藤、永野、重光、及び東條は一九四〇年⦅昭和十五年⦆九月二十二日又は其の頃「フランス」共和国に対し侵略戦争並に国際法、條約、協定及び誓約に違反する戦争を開始せり
訴因第十五に於けると同一の細目、條約條項及び誓約は本訴因に関係あり

訴因 第二十四

訴因第二十に於けると同一の被告は一九四一年⦅昭和十六年⦆十二月七日又は其の頃「タイ」王国に対し侵略戦争並に国際法、條約、協定及び誓約に違反する戦争を開始せり
附属書Aの細目中第七節並に附属書Bの下記條約條項即ち第一乃至第五、第三十三、第三十四、第三十六、第三十七及び第三十八は本訴因に関係あり

訴因 第二十五

被告荒木、土肥原、畑、平沼、廣田、星野、板垣、木戸、松岡、松井、重光及び鈴木は一九三八年⦅昭和十三年⦆七、八月中に於て「ハーサン」湖区域に於て「ソビエツト」社会主義共和国連邦を攻撃することに依り侵略戦争並に国際法、條約、協定及び誓約に違反する戦争を開始せり
訴因第十七に於けると同一の細目、條約條項及び誓約は本訴因に関係あり

(E-45)

訴因 第二十六

被告荒木、土肥原、畑、平沼、板垣、木戸、小磯、松井、松岡、武藤、鈴木、東郷、東條及び梅津は一九三九年⦅昭和十四年⦆の夏期中「ハルヒン・ゴール」河区域に於て蒙古人民共和国の領土を攻撃することに依り侵略戦争並に国際法、條約、協定及び誓約に違反する戦争を開始せり
訴因第十七に於けると同一の細目、條約條項及び誓約は本訴因に関係あり

訴因 第二十七

全被告は一九三一年⦅昭和六年⦆九月十八日より一九四五年⦅昭和二十年⦆九月二日に至る迄の期間に於て中華民国に対し侵略戦争並に国際法、條約、協定及び誓約に違反する戦争を行へり
訴因第二に於けると同一の細目、條約條項及び誓約は本訴因に関係あり

訴因 第二十八

全被告は一九三七年⦅昭和十二年⦆七月七日より一九四五年⦅昭和二十年⦆九月二日に至る迄の期間に於て中華民国に対し侵略戦争並に国際法、條約、協定及び誓約に違反する戦争を行へり
訴因第二に於けると同一の細目、條約條項及び誓約は本訴因に関係あり

(E-46)

訴因 第二十九

全被告は一九四一年⦅昭和十六年⦆十二月七日より一九四五年⦅昭和二十年⦆九月二日に至る迄の期間に於て「アメリカ」合衆国に対し侵略戦争並に国際法、條約、協定及び誓約に違反する戦争を行へり
附属書Aの細目中下記節即ち第四乃至第十並に訴因第二十に於けると同一の條約條項及び誓約は本訴因に関係あり

訴因 第三十

全被告は一九四一年⦅昭和十六年⦆十二月七日より一九四五年⦅昭和二十年⦆九月二日に至る迄の期間に於て「フイリツピン」国に対し侵略戦争並に国際法、條約、協定及び誓約に違反する戦争を行へり
訴因第二十九に於けると同一の細目、條約條項及び誓約は本訴因に関係あり

訴因 第三十一

全被告は一九四一年⦅昭和十六年⦆十二月七日より一九四五年⦅昭和二十年⦆九月二日に至る迄の期間に於て全「イギリス」聯邦に対し侵略戦争並に国際法、條約、協定及び誓約に違反する戦争を行へり
附属書Aの細目中下記節即ち第四乃至第十並に訴因第二十二に於けると同一の條約條項及び誓約は本訴因に関係あり

(E-47)

訴因 第三十二

全被告は一九四一年⦅昭和十六年⦆十二月七日より一九四五年⦅昭和二十年⦆九月二日に至る迄の期間に於て「オランダ」王国に対し侵略戦争並に国際法、條約、協定及び誓約に違反する戦争を行へり
訴因第十四に於けると同一の細目、條約條項及び誓約は本訴因に関係あり

訴因 第三十三

被告荒木、土肥原、平沼、廣田、星野、板垣、木戸、松岡、武藤、永野、重光及び東條は一九四〇年⦅昭和十五年⦆九月二十二日及び其の後「フランス」共和国に対し侵略戦争並に国際法、條約、協定及び誓約に違反する戦争を行へり
訴因第十五に於けると同一の細目、條約條項及び誓約は本訴因に関係あり

訴因 第三十四

全被告は一九四一年⦅昭和十六年⦆十二月七日より一九四五年⦅昭和二十年⦆九月二日に至る迄の期間に於て「タイ」王国に対し侵略戦争並に国際法、條約、協定及び誓約に違反する戦争を行へり
訴因第二十四に於けると同一の細目及び條約條項は本訴因に関係あり

訴因 第三十五

(E-48)
訴因第二十五に於けると同一の被告は一九三八年⦅昭和十三年⦆の夏期中「ソビエツト」社会主義共和国聯邦に対し侵略戦争並に国際法、條約、協定及び誓約に違反する戦争を行へり
訴因第十七に於けると同一の細目、條約條項及び誓約は本訴因に関係あり

訴因 第三十六

訴因第二十六に於けると同一の被告は一九三九年⦅昭和十四年⦆の夏蒙古人民共和国及び「ソビエツト」社会主義共和国聯邦に対し侵略戦争並に国際法、條約、協定及び誓約に違反する戦争を行へり
訴因第十七に於けると同一の細目、條約條項及び誓約は本訴因に関係あり

第二類 殺人

下記諸訴因に就きては殺人罪及び殺人の共同謀議の罪に問ふ 該罪は茲に記載せられたる者及び其の各自が個々に責任ありと主張せられ居る行為なると共に既述の裁判所條例第五條の全項、国際法及び日本を含む犯罪の行はれたる国々の国内法又は其等の一若くは二以上に違反したる平和に対する罪、通例の戦争犯罪及び人道に対する罪なり

訴因 第三十七

(E-49)
被告土肥原、平沼、廣田、星野、賀屋、木戸、木村、武藤、永野、岡、大島、佐藤、嶋田、鈴木、東郷及び東條は他の諸多の人々と共に一九四〇年⦅昭和十五年⦆六月一日より一九四一年⦅昭和十六年⦆十二月八日に至る迄の期間に於て一個の共通の計画又は共同謀議の立案又は実行に指導者、組織者、教唆者又は共犯者として参画したるものにして斯かる計画の実行に付き本人自身により為されたると他の何人により為されたるとを問はず一切の行為に対し責任を有す
斯かる計画又は共同謀議の目的は「アメリカ」合衆国、「フイリツピン」国、全「イギリス」聯邦、「オランダ」王国及び「タイ」王国に対し不法なる敵対行為を開始し且日本が上述国家と平和状態にある時に於て不法に是等諸国家又は其の或るものの領土、艦船並に航空機の攻撃を日本軍に命じ為さしめ且許すことに因り下記の人々を不法に殺害し殺戮せんとするに在りたり
殺害或は殺戮の目的とせられたる者は凡て上述諸国家の軍隊及び一般人中斯かる攻撃の際偶々其の地点に居合せたらん者なり
該敵対行為及び攻撃は附属書Bの條約條項第五に違反せるが故に不法なり従つて被告及び該日本軍は適法なる交戦者としての権利を獲得し得ざりしものなり
(E-50)
是等被告及び其の各自は右條約條項に違反して斯かる敵対行為を開始せんと意図し又は該條約條項に違反するや否やの如きは之を介意せざりしものなり

訴因 第三十八

被告土肥原、平沼、廣田、星野、賀屋、木戸、木村、松岡、武藤、永野、岡、大島、佐藤、嶋田、鈴木、東郷及び東條は他の諸多の人々と共に一九四〇年⦅昭和十五年⦆六月一日より一九四一年⦅昭和十六年⦆十二月八日に至る迄の期間に於て一個の共通の計画又は共同謀議の立案又は実行に指導者、組織者、教唆者又は共犯者として参画したるものにして斯かる計画の実行に付き本人自身により為されたると他の何人により為されたるとを問はず一切の行為に対し責任を有す
斯かる計画又は共同謀議の目的は「アメリカ」合衆国、「フイリツピン」国、全「イギリス」聯邦、「オランダ」王国及び「タイ」王国に対し不法なる敵対行為を開始し且不法に是等国家又は其の或るものの領土、艦船及び航空機の攻撃を日本軍に命じ為さしめ且許すことに因り下記の人々を不法に殺害し殺戮せんとするに在りたり
殺害或は殺戮の目的とせられたる者は凡て上述諸国家の軍隊及び一般人中斯かる攻撃の際偶々其の地点に居合せたらん者なり
(E-51)
該敵対行為及び攻撃は附属書Bの條約條項第六、第七、第十九、第三十三、第三十四及び第三十六に違反せるが故に不法なり従つて被告及び該日本軍は適法なる交戦者としての権利を獲得し得ざりしものなり
是等被告及び其の各自は右條約條項に違反して斯かる敵対行為を開始せんと意図し又は該條約條項の全部又は一部に違反するや否やの如きは之を介意せざりしものなり

訴因 第三十九

訴因第三十八に於けると同一の被告は本件訴因第三十七及び第三十八に於て主張したる情況の下に一九四一年⦅昭和十六年⦆十二月七日〇七五五時頃(真珠湾時間)「ハワイ」準州真珠湾に於て日本が当時平和状態に在りし「アメリカ」合衆国の領土、艦船及び航空機に対する攻撃を日本軍に命じ為さしめ且許すことに因りて不法に「キツド」海軍少将の外目下其の氏名及び員数不詳なる「アメリカ」合衆国陸海軍将兵約四千名及び一般人を殺害し殺戮したり

訴因 第四十

訴因第三十八に於けると同一の被告は本件訴因第三十七及び第三十八に於て主張したる情況の下に一九四一年⦅昭和十六年⦆十二月八日〇〇二五時頃「シンガポール」時間「ケランタン」州「コタバル」に於て日本が当時平和状態に在りし全「イギリス」聯邦の領土及び航空機に対する攻撃を日本軍に命じ為さしめ且許すことに因りて不法に目下其の氏名及び員数不詳なる全「イギリス」聯邦軍将兵を殺害し殺戮したり

(E-52)

訴因 第四十一

訴因第三十八に於けると同一の被告は本件訴因第三十七及び第三十八に於て主張したる情況の下に一九四一年⦅昭和十六年⦆十二月八日〇八〇〇時頃(香港時間)香港に於て日本が当時平和状態に在りし全「イギリス」聯邦の領土、艦船及び航空機に対する攻撃を日本軍に命じ為さしめ且許すことに因りて不法に目下其の氏名及び員数不詳なる全「イギリス」聯邦軍将兵を殺害し殺戮したり

訴因 第四十二

訴因第三十八に於けると同一の被告は本件訴因第三十七及び第三十八に於て主張したる情況の下に一九四一年⦅昭和十六年⦆十二月八日〇三〇〇時頃(上海時間)上海に於て日本が当時平和状態に在りし全「イギリス」聯邦の軍艦「ベトレル」号に対する攻撃を日本軍に命じ為さしめ且許すことに因りて不法に目下其の氏名不詳なる全「イギリス」聯邦海軍軍人三名を殺害し殺戮したり

(E-53)

訴因 第四十三

訴因第三十八に於けると同一の被告は本件訴因第三十七及び第三十八に於て主張したる情況の下に一九四一年⦅昭和十六年⦆十二月八日壱〇〇〇時頃(「マニラ」時間)「ダバオ」に於て日本が当時平和状態に在りし「フイリツピン」国の領土に対する攻撃を日本軍に命じ為さしめ且許すことに因りて不法に目下其の氏名及び員数不詳なる「アメリカ」合衆国軍将兵並に「フイリツピン」国軍将兵及び一般人を殺害し殺戮したり

訴因 第四十四

全被告は他の諸多の人々と共に一九三一年⦅昭和六年⦆九月十八日より一九四五年⦅昭和二十年⦆九月二日に至る迄の期間に於て一個の共通の計画又は共同謀議の立案及び実行に指導者、組織者、教唆者又は共犯者として参画したるものにして斯かる計画の実行に付き本人自身により為されたると他の何人により為されたるとを問はず一切の行為に対し責任を有す
斯かる計画又は共同謀議の目的は上記期間中日本が行ひ又は行はんとしたる不法なる数回の戦争に勝利を容赦なく獲得せんとし日本の占領したる領土内に於て、陸上又は海上に於て、俘虜、日本に降伏することあるべき敵対せし諸国の将兵、日本の権力下に置かるることあるべき一般人及び日本軍に撃破せられたる艦船の乗組員の大量殺戮を行はしめ且之を許可するに在りたり

(E-54)

訴因 第四十五

被告荒木、橋本、畑、平沼、廣田、板垣、賀屋、木戸、松井、武藤、鈴木及び梅津は一九三七年⦅昭和十二年⦆十二月十二日及び其の後引続き本件訴因第二記載の條約條項に違反して南京市を攻撃し且国際法に反して住民を殴殺することを日本軍に不法に命じ為さしめ且許すことに因り不法に目下其の氏名及び員数不詳なる数万の中華民国の一般人及び武装を解除せられたる兵員を殺害し殺戮せり

訴因 第四十六

訴因第四十五に於けると同一の被告は一九三八年⦅昭和十三年⦆十月二十一日及び其の後引続き本件訴因第二記載の條約條項に違反して廣東市を攻撃し且国際法に反して住民を殴殺することを日本軍に不法に命じ為さしめ且許すことに因り不法に目下其の氏名及び員数不詳なる多数の中華民国の一般人及び武装を解除せられたる兵員を殺害し殺戮せり

訴因 第四十七

(E-55)
訴因第四十五に於けると同一の被告は一九三八年⦅昭和十三年⦆十月二十七日の前後に亘り本件訴因第二記載の條約條項に違反して漢口市を攻撃し且国際法に反して住民を殴殺することを日本軍に不法に命じ為さしめ且許すことに因り不法に目下其の氏名及び員数不詳なる多数の中華民国の一般人及び武装を解除せられたる兵員を殺害し殺戮せり

訴因 第四十八

被告畑、木戸、小磯、佐藤、重光、東條及び梅津は一九四四年⦅昭和十九年⦆六月十八日前後に亘り本件訴因第二記載の條約條項に違反して長沙市を攻撃し且国際法に反して住民を殴殺することを日本軍に不法に命じ為さしめ且許すことに因り不法に目下其の氏名及び員数不詳なる数千の中華民国の一般人及び武装を解除せられたる兵員を殺害し殺戮せり

訴因 第四十九

訴因第四十八に於けると同一の被告は一九四四年⦅昭和十九年⦆八月八日の前後に亘り本件訴因第二記載の條約條項に違反して湖南省衝陽市を攻撃し且国際法に反して住民を殴殺することを日本軍に不法に命じ為さしめ且許すことに因り不法に目下其の氏名及び員数不詳なる多数の中華民国一般人及び武装を解除せられたる兵員を殺害し殺戮せり

(E-56)

訴因 第五十

訴因第四十八に於けると同一の被告は一九四四年⦅昭和十九年⦆十一月十日前後に亘り本件訴因第二記載の條約條項に違反して廣西省の桂林、柳州両都市を攻撃し且国際法に反して住民を殴殺することを日本軍に不法に命じ為さしめ且許すことに因り不法に目下其の氏名及び員数不詳なる多数の中華民国の一般人及び武装を解除せられたる兵員を殺害し殺戮せり

訴因 第五十一

被告荒木、土肥原、畑、平沼、板垣、木戸、小磯、松井、松岡、武藤、鈴木、東郷、東條及び梅津は一九三九年⦅昭和十四年⦆夏「ハルヒン・ゴール」河地域に於て当時日本と平和状態に在りたる蒙古及び「ソビエツト」社会主義共和国聯邦の領土を攻撃することを日本軍に命じ為さしめ且許すことに因り不法に目下其の氏名及び員数不詳なる蒙古及び「ソビエツト」社会主義共和国聯邦の軍隊の若干名を殺害し殺戮せり

訴因 第五十二

被告荒木、土肥原、畑、平沼、廣田、星野、板垣、木戸、松岡、松井、重光、鈴木及び東條は当時日本と平和状態にありたる「ソビエツト」社会主義共和国聯邦を(一九三八年⦅昭和十三年⦆七月及び八月「ハーサン」湖区域に於て)日本軍に攻撃することを命じ為さしめ且許すことに因り目下其の氏名及び員数不詳なる「ソビエツト」社会主義共和国聯邦の若干名を不法に殺害し殺戮せり

(E-57)

第三類 通例の戦争犯罪及び人道に対する罪

下記訴因に付きては通例の戦争犯罪及び人道に対する罪を問ふ該罪は茲に記載せられたる者及び其の各自が極東国際軍事裁判所條例第五條特に第五條(ロ)及び(ハ)並に国際法又は其の孰れかの一に依り個々に責任有りと主張せられ居る行為なり

訴因 第五十三

被告土肥原、畑、星野、板垣、賀屋、木戸、木村、小磯、武藤、永野、岡、大島、佐藤、重光、嶋田、鈴木、東郷、東條及び梅津は他の諸多の人々と共に一九四一年⦅昭和十六年⦆十二月七日より一九四五年⦅昭和二十年⦆九月二日に至る迄の期間に於て一個の共通の計画又は共同謀議の立案又は実行に指導者、組織者、教唆者又は共犯者として参画したるものにして斯かる計画の実行に付き本人自身に依り為されたると他の何人に依り為されたるとを問はず一切の行為に対して責任を有す
(E-58)
斯かる計画又は共同謀議の目的は当時日本が従事せる諸作戦地の各々に於ける日本陸海軍の最高司令官、日本陸軍省職員、日本領土又は其の占領地の俘虜及び一般収容者の収容所及び労務班の管理当事者、並に日本の憲兵及び警察と其の夫々の部下とに「アメリカ」合衆国、全「イギリス」聯邦、「フランス」共和国、「オランダ」王国、「フイリツピン」国、中華民国、「ポルトガル」共和国及び「ソビエット」社会主義共和国聯邦の軍隊に対し並に当時日本の権力下に在りし此等諸国の数千の俘虜及び一般人に対し附属書Dに於て述べられたる條約、誓約及び慣行中に含まれ且之に依り証明せられたる戦争の法規慣例の頻繁にして且常習的なる違反行為を行ふことを命令し授権し且つ許可すること、而かも亦日本国政府に於て上記條約及び誓約並に戦争の法規慣例の遵守を確保し且其の違反を防止する為め之に準拠して適当なる手段を執ることを差控ふべきことに在りたり
中華民国の場合に於ては該計画又は共同謀議は一九三一年⦅昭和六年⦆九月十八日に始まり上記指名の者の外下記被告も亦之に参画せり
荒木、橋本、平沼、廣田、松井、松岡、南

(E-59)

訴因 第五十四

被告土肥原、畑、星野、板垣、賀屋、木戸、木村、小磯、武藤、永野、岡、大島、佐藤、重光、嶋田、鈴木、東郷、東條、及び梅津は一九四一年⦅昭和十六年⦆十二月七日より一九四五年⦅昭和二十年⦆九月二日に至る迄の期間に於て訴因第五十三に於て述べたる者と同一の人々に同訴因中に於て述べたる違反行為を行ふことを命令し授権し且許可し以て戦争法規に違反せり
中華民国の場合に於ては該命令、授権及び許可は一九三一年⦅昭和六年⦆九月十八日より始まる期間に発せられたるものにして上記指名の者の外下記の被告も亦之に責任を有す
荒木、橋本、平沼、廣田、松井、松岡、南

訴因 第五十五

被告土肥原、畑、星野、板垣、賀屋、木戸、木村、小磯、武藤、永野、岡、大島、佐藤、重光、嶋田、鈴木、東郷、東條及び梅津は一九四一年⦅昭和十六年⦆十二月七日より一九四五年⦅昭和二十年⦆九月二日に至る迄の期間に於て夫々の官職に因り「アメリカ」合衆国、全「イギリス」聯邦、「フランス」共和国、「オランダ」王国、「フイリツピン」国、中華民国、「ポルトガル」共和国及び「ソビエツト」社会主義共和国聯邦の軍隊並に当時日本の権力下に在りし此等諸国の数万の俘虜及び一般人に関し上記條約及び誓約並に戦争の法規慣例の遵守を確保する責任を有したるも、其の遵守を確保し其の違反を防止するに適当なる手段を執る可き法律上の義務を故意又不注意に無視し以て戦争法規に違反せり
(E-60)
中華民国の場合に於ては該違反行為は一九三一年⦅昭和六年⦆九月十八日に始まり上記指名の者の外下記被告も之に責任を有す
荒木、橋本、平沼、廣田、松井、松岡、南

 

以上の理由に依り裁判所に対し本起訴状を提出し茲に前記指名の被告人等に対する起訴事実を裁判所に提出するものなり

「アメリカ」合衆国代表・主席検察官
ジヨゼフ・B・キーナン

中華民国代表・副検察官
向哲濬

「グレート・ブリテン」及び北「アイルランド」聨合王国代表・副検察官
A・S・コミンズ・カー

「ソビエツト」社会主義共和国聯邦代表・副検察官
S・A・ゴルンスキー
(E-61)
「オーストラリア」聯邦代表・副検察官
A・J・マンスフイルド

「カナダ」代表・副検察官
H・G・ノーラン

「フランス」共和国代表・副検察官
ロベル・オネト

「オランダ」王国代表・副検察官
W・G・F・ボルゲルホフ・マルダー

「ニユージーランド」代表・副検察官
R・H・クイリアム

「インド」代表・副検察官
ゴビンダ・メノン
代理A・S・コミンズ・カー

「フイリツピン」国代表・副検察官
ペドロ・ロペス


南京事件資料集