極東国際軍事裁判所条例(極東国際軍事裁判所判決文付属書A-5)

〈説明〉

本資料は、極東国際軍事裁判所判決文の付属書Aの極東国際軍事裁判所条例(付属書A-5)を文字起ししたものである。原典は、国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている「極東国際軍事裁判所判決〔第7冊〕付属書Aノ部」に所収されている。
掲載するにあたり、適宜、カタカナを平仮名に、旧漢字を新漢字に直した他は原典を再現している。文中の「(E-数字)」は、英文判決文のページ数に対応する。


〈目次〉


〈本文〉

(E-19)
極東国際軍事裁判所判決
附属書A ― 五

極東国際軍事裁判所条例

第一章 裁判所の構成

第一条 裁判所の設置

極東に於ける重大戦争犯罪人の公正且つ迅速なる審理及び処罰の為め茲に極東国際軍事裁判所を設置す
裁判所の常設地は東京とす。

第二条 裁判官

本裁判所は降伏文書の署名国並に「インド」、「フイリツピン」国により申出てられたる人名中より連合国最高司令官の任命する六名以上十一名以内の裁判官を以て構成す。

第三条 上級職員及び書記局

第四条 開廷及び定足数、投票及び欠席

第二章 管轄及び一般規定

第五条 人並に犯罪に関する管轄

本裁判所は、平和に対する罪を包含せる犯罪に付個人として又は団体員として訴追せられたる極東戦争犯罪人を審理し処罰するの権限を有す。
左に掲ぐる一又は数個の行為の個人責任あるものとし本裁判所の管轄に属する犯罪とす。

(E-22)
上記犯罪の何れかを犯さんとする共通の計画又は共同謀議の立案又は実行に参加せる指導者、組織者、教唆者及び共犯者は、斯かる計画の遂行上為されたる一切の行為に付、其の何人に依りて為されたるとを問はず、責任を有す。

第六条 被告人の責任

何時たるとを問はず被告人が保有せる公務上の地位、若は被告人が自己の政府又は上司の命令に従ひ行動せる事実は、何れも夫れ自体右被告人をして其の起訴せられたる犯罪に対する責任を免れしむるに足らざるものとす。但し斯かる事情は本裁判所に於て正義の要求上必要ありと認むる場合に於ては、刑の軽減の為に考慮することを得。

第七条 手続規定

本裁判所は本条例の基本規定に準拠し手続規定を制定し又は之を修正することを得。

第八条 検察官

第三章 被告人に対する公正なる審理

(E-23)

第九条 公正なる審理の為めの手続

被告人に対する公正なる審理を確保する為め、左記の手続を遵守すべきものとす。

第十条 審理前に於ける申請又は動議

審理の開始に先立ち本裁判所に対して為さるる動議、申請其の他の請求は総て書面を以て為さるべきものとし、且つ本裁判所の処置を仰ぐ為め之を本裁判所書記長に提出すべきものとす。

第四章 裁判所の権限及び審理の執行

第十一条 権限

本裁判所は左記の権限を有す。

第十二条 審理の執行

本裁判所は左記の各項を遵守すべし。

第十三条 証拠

第十四条 裁判の場所

最初の裁判は東京に於て之を行ふべく、爾後行はるることあるべき裁判は本裁判所の決定する場所に於て之を行ふものとす。

第十五条 裁判手続の進行

本裁判に於ける手続は左記の過程を経べきものとす。

第五章 判決及び刑の宣告

第十六条 刑罰

本判所は有罪の認定を為したる場合に於ては、被告人に対し死刑又は其の他本裁判所が正当と認むる刑罰を課する権限を有す。

第十七条 判決及び審査

判決は公開の法廷に於て宣告せらるべく、且つ之に判決理由を附すべし。裁判の記録は連合国最高司令官の処置を仰ぐ為め直に同司令官に送付せらるべし。刑は連合国最高司令官の命令に従ひ執行せらるべし。連合国最高司令官は何時にても刑に付之を軽減し又は其の他の変更を加ふることを得。但し刑を加重することを得ず。

マツクアーサー元帥の命令に依り

((米陸軍))参謀団員・陸軍少将
参謀長 リチヤード・J・マーシヤル

正書
((米陸軍))軍務局員・陸軍代将
軍副官部主任 ビー・M・フイツチ


極東国際軍事裁判所判決文目次

南京事件資料集