〈説明〉
本資料は、極東国際軍事裁判所判決文の付属書Aの降伏文書(付属書A-2)を文字起ししたものである。原典は、国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている「極東国際軍事裁判所判決 〔第7冊〕付属書 Aノ部」に所収されている。
掲載するにあたり、適宜、カタカナを平仮名に、旧漢字を新漢字に直した他は原典を再現している。文中の「(E-数字)」は、英文判決文のページ数に対応する。
〈本文〉
(E-11)
極東国際軍事裁判所判決
附属書A―二
下名は茲に合衆国、中華民国及び「グレート・ブリテン」国の政府の首班が一九四五年七月二十六日「ポツダム」に於て発し、後に「ソビエツト」社会主義共和国連邦が参加したる宣言の条項を日本国天皇、日本国政府及び日本帝国大本営の命に依り且つ之に代り受諾す。右の四国は以下之を連合国と称す。
下名は茲に日本帝国大本営並に何れの位置に在るを問はず一切の日本国軍隊及び日本国の支配下に在る一切の軍隊の連合国に対する無条件降伏を布告する。
下名は茲に何れの位置に在るを問はず一切の日本国軍隊及び日本国臣民に対し敵対行為を直に終止すること、一切の船舶、航空機並に軍用及び非軍用財産を保存し之が毀損を防止すること、及び連合国最高司令官又は其の指示に基き日本国政府の諸機関が課すべき一切の要求に応ずることを命ず。
下名は茲に日本帝国大本営が何れの位置に在るを問はず一切の日本国軍隊及び日本国の支配下に在る一切の軍隊の指揮官に対し自身及び其の支配下に在る一切の軍隊が無条件に降伏すべき旨の命令を直に発することを命ず。
(E-12)
下名は茲に一切の官庁、陸軍及び海軍の職員に対し、連合国最高司令官が本降伏実施の為め適当なりと認めて自ら発し又は其の委任に基き発せしむる一切の布告、命令及び指示を遵守し且つ之を施行することを命じ並に右職員が連合国最高司令官に依り又は其の委任に基き特に任務を解かれざる限り各自の地位に留り且つ引続き各自の非戦闘的任務を行ふことを命ず。
下名は茲に「ポツダム」宣言の条項を誠実に履行すること、並に右宣言を実施する為め、連合国最高司令官又は其の他特定の連合国代表者が要求することあるべき一切の命令を発し、且つ斯る一切の措置を執ることを天皇、日本国政府及び其の後継者の為に約す。
下名は茲に日本帝国政府及び日本帝国大本営に対し現に日本国の支配下に在る一切の連合国俘虜及び被抑留者を直に解放すること、並に其の保護、手当、給養及び指示せられたる場所への即時輸送の為の措置を執ることを命ず。
(E-13)
天皇及び日本国政府の国家統治の権限は、本降伏条項を実施する為め適当と認むる措置を執る連合国最高司令官に服せしめらるるものとす。
一九四五年九月二日午前九時四分日本国東京湾上に於て署名す。
大日本帝国天皇陛下及び日本国政府の命に依り且つ其の名に於て
重光葵
日本帝国大本営の命に依り且つ其の名に於て
梅津美治郎
一九四五年九月二日午前九時八分日本国東京湾上に於て合衆国、中華民国、連合王国及び「ソビエツト」社会主義共和国連邦の為に並に日本国と戦争状態に在る他の連合諸国家の利益の為に受諾す。
連合国最高司令官 ダグラス・マツクアーサー
合衆国代表者 C・W・ニミツツ
中華民国代表者 徐永昌
連合王国代表者 ブルース・フレーザー
「ソビエツト」社会主義共和国連邦代表者 中将クズマ・N・ヂエレヴイヤンコ
「オーストラリア」連邦代表者 T・A・ブレーミー
「カナダ」自治領代表者 L・ムーア・コスグレーン
「フランス」共和国臨時政府代表者 ジアツク・ル・クレルク
(E-14)
「オランダ」王国代表者 C・E・L・ヘルフリツヒ
「ニユジーランド」自治領代表者 レオナルド・M・イシツト
『詔書
朕は昭和二十年七月二十六日米、英、支各国政府の首班が「ポツダム」に於て発し後に「ソ」連邦が参加したる宣言の掲ぐる諸条項を受諾し、帝国政府及び大本営に対し連合国最高司令官が提示したる降伏文書に朕に代り署名し、且つ連合国最高司令官の指示に基き陸海軍に対する一般命令を発すべきことを命じたり。朕は朕が臣民に対し敵対行為を直に止め、武器を措き、且つ降伏文書の一切の条項並に帝国政府及び大本営の発する一般命令を誠実に履行せむことを命ず。
御名御璽
昭和二十年九月二日
内閣総理大臣
各国務大臣』
⦅訳者註=判決附属書A第十四頁には右布告は引用符なしで『布告』として掲載されているが、その日本文は、自明の理由に基いて、降伏当時の日本政府が公表した侭を引用符に入れて採録した。なお英文には『御名御璽』以下、各国務大臣の副署までは省略されているが、これも右と同様理由で採録した⦆