〈説明〉
本資料は、極東国際軍事裁判所判決文の付属書Aの日本国政府条件附受諾(付属書A-1-a)を文字起ししたものである。原典は、国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている「極東国際軍事裁判所判決 〔第7冊〕付属書 Aノ部」に所収されている。
掲載するにあたり、適宜、カタカナを平仮名に、旧漢字を新漢字に直した他は原典を再現している。文中の「(E-数字)」は、英文判決文のページ数に対応する。
〈本文〉
(E-4)
極東国際軍事裁判所判決
附属書A ― 一 ― a
在「ワシントン」・D・C・「スイス」公使館
一九四五年八月十日
謹啓 日本国政府よりの訓令に基き在「スイス」日本公使が「スイス」国政治局に対し左記事項を「アメリカ」合衆国に伝達することを依頼し来りたるを通告するの光栄を有し候。
『常に世界平和の大義を高揚せんと切望し、これ以上の戦争の継続に因りて齎らさるる災害より人類を救はんとの御思召より、敵対行為の速かなる終焉を熱望し給ふ天皇陛下の御命令に従ひ、日本政府は、数週間以前当時中立関係に在りたる「ソ」連政府に対し、敵国との和平回復の為めの周旋を依頼せり。不幸にして之等和平の為めの努力は失敗したるを以て、日本政府は、一般的平和の回復を庶幾せらるる天皇陛下の聖旨に従ひて、且つ戦争の齎す無限の苦難を可及的速やかに終熄せしめんと欲して、以下の事項を決定せり
(E-5)
『日本政府は、米英及び中華民国の首脳者達に依り、一九四五年七月二十六日「ポツダム」に於て発せられ、其の後「ソ」連国の署名を得たる共同宣言に列挙せらるる諸条件を、該宣言が君主としての統治者たる天皇の大権を侵害する如何なる要求をも包含せざるものとの了解の下に、受諾するの用意あり
『日本政府は此了解が保証せらるる事を真実希望し、且つ其の旨の明白なる指示が速かに与へられんことを熱望す』
右「メツセージ」の通達に当り、日本公使は日本政府と米国政府が「スイス」国を通じて其の回答を送達せらるることを要請するものなる旨附言致し居り候。同様の請願が「ソ」連政府並に「イギリス」政府に対しては「スエーデン」国を通じ、中華民国に対しては「スイス」国を通じて通達中に御座候。在「ペルン」中華民国公使は、「スイス」国政治局を経て、既に前記通達を接受致し候。
尚本件に関し、米国政府の回答を接受し、且つ之を本使の本国政府に通達する為め、何時にても貴命に応ずべき用意あることを何卒御承知置被下度候。
(E-6)
願くば閣下本使の深甚なる敬意を再び御確認あらんことを
グラスリー
「スイス」国臨時代理公使
国務長官
ジエームス・F・バーンズ閣下
南京事件資料集